完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだとうそぶいているほうがいい
互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで疑わしくなるほうがいい
正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気付いているほうがいい
立派でありたいとか正しくありたいとかいう無理な緊張には色目を使わず
ゆったりゆたかに光を浴びているほうがいい
祝婚歌』より一部を抜粋(吉野弘著)